初期研修医の何科に行くか悩んでいる人に「勤務医が実際に働いていてどう感じているの?」という客観的なデータを持ってオススメの診療科をアドバイスしていきます。
参考にしているデータは2012年の「勤務医の就労実態の意識に関する調査」(独立行政法人 労働政策研究所・研究機構)です。
あくまでデータを使用して個人的な意見ですので参考程度にしてください。
オススメの診療科は自分が楽しいと思える科
初期研修医の人に最近は歳をとったせいか『何科に行くか迷ってます。』と相談を受けることが多くなっています。
私の答えはずばり一番自分が楽しいって思える科をオススメしてます。
ただその人によって何が楽しいかって違いますよね。
その楽しいって思えることが何なのかを探すのを助けられればと思います。
診療科を決めるにあたって自分にとって何が楽しいか考えてみましょう。
- 働きがいがある
- オンオフがはっきりしている
- 当直やオンコールが少ない
- アルバイトがしやすい
- 収入が多い
- 子どもができても働きやすい
などなど色々なことが「自分にとって楽しい」につながると思います。
もちろん私は救急科と小児科がメインなので、できれば救急科か小児科に入ってほしいです。
自分も救急科と小児科の楽しみを教えられるような医師になっていきたいです。
実際の勤務医のアンケートを参考にしながらオススメの科を客観的に決定していきたいと思います。
交代制で仕事できるのは麻酔科と救急科
交代制でオンオフがはっきりしているのは良いことですよね。
休日出勤や急な呼び出しもグッと減ります。
もちろん交代制の代表的な診療科は麻酔科と救急科ですね。50%と他の科を大きく引き離しています。
続いて交代制が多いのが産婦人科と放射線科で30%前後です。
ただ救急科や産婦人科は仕事がきついから交代制になっている面もあります。
ちなみに最下位の12位は精神科で5.0%ですが、これは当然ですよね。
精神科は主治医の先生との信頼関係で診察が成り立ってますからね。
交代制の割合
- 麻酔科 51.6%
- 救急科 47.2%
- 産婦人科 30.6%
- 放射線科 27.2%
- 眼科・耳鼻科・泌尿器科・皮膚科 18.2%
- 小児科 15.6%
当直が少ないのは放射線科
当直が4回以上と多いのは、救急科63.9%とダントツです。
続いて産婦人科、小児科、麻酔科と続きます。
救急科はオンオフがはっきりしてますが当直は多いです。
一番当直が少ないのは放射線科で0.9%です。
当直が5回以上ある診療科
- 救急科 63.9%
- 産婦人科 27.8%
- 小児科 21.0%
- 精神科 20.0%
- 麻酔科 15.7%
オンコールが4回以上ある診療科は上位は脳神経外科36.7%、産婦人科31.3%となっており緊急手術の多い科となっています。
手術は1人ではできない場合が多く致し方いないですよね。
続く消化器内科や循環器内科は内視鏡や緊急カテーテルの呼び出しですね。
ちなみに最下位は救急科で3.4%ですが当直しているから少ないだけです。
オンコールが4回以上ある診療科
- 脳神経外科 36.7%
- 産婦人科 31.3%
- 呼吸器科・消化器科・循環器科 30.9%
- 外科 29.0%
- 麻酔科 23.0%
アルバイトがしやすい科は救急科
複数の勤務先を持つ人は救急科が一番多く76.7%です。
整形外科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科、麻酔科、精神科と続きます。
アルバイトのしやすい科は専門性が高い診療科が多い科です。
救急科はオンオフがはっきりしているのでアルバイトがしやすいんですね。
ちなみに12位は外科の40.7%でした。
外科は手術もありますしオンコールや土日の回診など長時間労働になるためアルバイトがしにくいんです。
複数の勤務先を持つ割合
- 救急科 76.7%
- 整形外科 58.7%
- 眼科・耳鼻科・泌尿器科・皮膚科 57.3%
- 麻酔科 55.6%
- 精神科 54.6%
収入が一番高い科は脳神経外科
収入の話をするのはいやかもしれませんが、診療科によって年収も多少違うんです。
トップは脳神経外科で1480万円です。産婦人科1466万、外科1374万、麻酔科1335万と続きます。
ただ実は日本では診療科ごとに給料を変える病院は稀です。
結果をみると緊急手術が多い科が上位を占めます。
ただ時間外手当がついていただけなんですね。
最終の12位は眼科・耳鼻科・泌尿器科・皮膚科1078万です。
やはり給料の少ない科は時間外や当直の少ない科ですよね。
美容外科をやっている人の方が高いと思いますが、今回の調査では形成外科という項目はありませんのであしからず。
診療科別の平均給料
- 脳神経外科 1480.3万
- 産婦人科 1466.3万
- 外科 1374.2万
- 麻酔科 1335.2万
- 整形外科 1289.9万
給料は病院形態で変わる
給料のお話しをすると先ほどの述べたように勤務医では病院内では診療科ごとに大きな差はありません。
ただ病院形態で大きく変わります。
大学病院は他でも述べたように臨床以外に教育も研究もしなければなりません。
いくら教育や研究をしても診療報酬は増えません。
大学病院は構造上の問題で給料が安いんですね。
悪いのは大学病院でも医局でもなく診察報酬を決めている国です。
もう一度言いますが、給料は診療科ごとではなく病院の形態で変わります。
なので給料が良いから形成外科や麻酔科にしようと思っている人がいるかもしれませんがそれは絶対にやめましょう。
大学病院以外は1300~1400万前後なのに対し、大学病院は700~800万前後です。
病院形態別の平均給料
- 医療法人 1443.8万
- 個人 1414.0万
- 公的 1353.4万
- 公立 1347.1万
- 社会保険関係団体 1280.7万
- 国立 882.4万
- 学校法人 739.5万
大きな声では言えませんが給料を考えるなら早く大学病院、つまり医局を辞める方法を考えください。
下記の記事も参考にしてください↓
まとめ
アンケートの結果をまとめると
時間外労働が多いのは残念だけど手術大好きな人は 脳神経外科、産婦人科、外科
当直は多めだけどオンオフはっきりさせたい人は 救急科、麻酔科
アルバイトもしやすく当直も少ないのを望む人は 眼科・耳鼻科・泌尿器科・皮膚科
当直が少なくオンオフもはっきりして安定重視の人は 放射線科
となりました。
病院で一緒に働いているとアンケート結果はイメージ通りな感じですよね。
初期研修医の人はぜひアンケート結果を参考してください。
給料は診療科ごとではなく病院形態によりますので、あまり診療科を決定する際にあまり考えなくて良いと思います。
アンケート結果からオススメ科はやっぱり 放射線科 ですね。
この先30年以上働く診療科を決める訳なので、本当に楽しいと思える科に入ってくださいね。
ちなみに私が小児救急を選んだのは
小児から大人まで内科系でも外科系でも急性期を診れるスペシャリティーがかっこよかったからです。
私は小児救急医としての医者人生を楽しんでします。そして今が一番楽しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今後もみなさんが楽しんでもらえるような記事を書いていきます。
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