社会保険は簡単にいうと会社や組合、国や地方自治体といった公の機関等が「働けなくなったときに金銭を補助してくれる保険」です。
具体的には公的医療保険(健康保険など)、公的年金保険(厚生年金など)、介護保険、労災保険、雇用保険が社会保険にあたります。
基本的に勤務医は所属している病院の社会保険に加入することになり、保険料は所得により決定されています。本人が負担するのは公的医療保険、公的年金保険、介護保険、雇用保険の4つになります。労災保険は雇用した病院が全額負担してくれます。
基本を押さえるために勤務医の場合の例にとって説明します。
1 公的医療保険
病院に診察を受ける際に医療費の補助をしてくれる健康保険がこれにあたります。雇用した病院の加入している健康保険に加入します。公的病院に就職していれば共済組合保険や私立大学に就職していれば私学共済組合保険です。
保険料は所得によって計算され、扶養人数によって金額は変わらず、雇用した病院が半分負担してくれます。
2 公的年金保険
公的年金保険は高齢になった時や障害を負ってしまった時、死亡した時に保障される保険です。高齢時にもらえる年金を老齢年金、障害を負った時にもらえる年金を障害年金、死亡したときに遺族がもらえる年金を遺族年金といいます。一般の病院に就職していれば厚生年金保険、公的病院に就職していれば共済年金保険になります。
厚生年金保険等の保険料は「国民年金保険+厚生年金の上乗せ分の保険料」となっています。保険料は所得によって計算され給料の約18%で、扶養人数によって金額は変わらず、これも雇用した病院が半分負担してくれます。
3 介護保険
加入者に介護の必要が認められた時に保障を受けられるのが介護保険です。40歳以上のすべての人が加入する必要があります。
4 雇用保険
雇用保険は失業後に再就職を支援するための保険で失業給付などです。
雇用保険料は給料の0.5%であり給料から自動的に天引きされます。
しかし初期研修が終わり大学病院に就職する場合は往々にして専攻生や大学院生になると勤務先の社会保険には入れません!!!またアルバイトだけで生計を立てる医師も勤務先がないため同様です。
公的年金保険は国民健康保険に加入し、雇用保険と労災保険はありません。
しかし公的医療保険+介護保険は医師であれば一般的に3つ選択が可能になっています。
1、直前に加入していた公的医療保険の任意継続
直前に加入していた公的医療保険の任意継続はその医療保険によって規定がかなり違うのでしっかり要綱を確認してから申し込んでください。
任意継続は直前にどれだけの期間入会していたかで継続可能か、任意継続の期間と途中解約の可否、プラスアルファ―の保証があるかなど確認してください。
保険料は病院側の負担がなくなるので離職前の約2倍が基本になります。離職前と同様に家族の人数によって変わることはありません。
具体的に私が以前入会していた私学共済健康保険で示していきましょう。
保険料は?
→離職前の所得によってことなります。標準報酬月額180,000で年177,300(+40歳以上は介護保険分 年26,108)となっています。
直前にどれだけの期間入会していたかで継続可能か?
→1年と1日以上。1日でも足らないとダメなんです!厳しい。
任意継続の期間と途中解約の可否?
→最長2年、途中で任意解約は可能。
(協会けんぽは最長2年、途中での任意解約は不可です。)
プラスアルファ―の保証があるか?
→健康保険には法廷給付と付加給付があり、付加給付は任意継続でも一部使用でき病気、ケガ、災害、死亡、結婚、出産、入院等の際に保障されることがあります。
2、医師国民健康保険に加入
医師は県医師会経由で医師国民健康保険に加入できます。県医師会によって開業医向けであって勤務医は加入できないところもありますのでご注意ください。(千葉県医師会)
まずは医師会に入会しなくてはなりませんが入会の方法が大学医師会から東京都医師会+日本医師会に入会すると年間48,000円かかります。
東京都医師会の医師国民健康保険は会員は月24,000(+40歳以上は介護保険分 月4000円)となっており、家族は月10,000(+40歳以上は介護保険分 月4000円)となっています。家族が多くなると保険料が高くなるんですね。
つまり40歳以下、本人のみ加入の場合は年間336,000円(医師会48,000+健康保険分288,000円)です。
3、国民健康保険に加入
国民健康保険は前年の所得と加入する市町村、加入する人数によって変動します。所得が低い場合はお得になりますが一般的に医師国民保険と比べると前年度の所得がいくらくらいの場合はお得になるのでしょうか。
これも市町村によって変わりますが文京区を例にとってみましょう。
40歳未満、加入する人は1人とします。
年収550万で年間336,508円となっており、前年度の所得が550万以下なら医師国民健康保険より国民健康保険加入した方がお得になります。
参考までに年収300万で年間174,324円、年収500万で年間303,068円 、年収600万で年間369,948円となっています。
結論
年収が低いうちは現在加入中の保険の任意継続もしくは国民健康保険に入会がお得である。
国民健康保険は年収が上がってからは損になるため医師国民健康保険に加入しなおすのが望ましい。
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