早いもので私も小児科専門医を取得して5年目になるため更新の時期が来ました。
新専門医制度(日本専門医機構による専門医制度)になり更新が以前より難しくなっています。
そこで新専門医制度での小児科専門医の流れや皆さんが悩む『診療実績の証明』をまとめてみました。
参考にしてください。
小児科専門医更新の流れ
1月頃:新専門医制度の小児科領域専門医更新基準は毎年1月に発行される『日本小児科学会雑誌』に公示が掲載されています。
必ず更新する年の公示を確認してください。
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2月頃:更新が必要な人は2月頃に学会雑誌の送付先に『専門医資格更新申請に関する案内』が発送されます。
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3月頃:新制度での更新申請の受付は年に1回(3月の1か月間)のみになります。
3月1日から3月31日の当日消印有効なので必ず3月31日までに郵便局に持っていきましょう。
<提出書類>
- 『小児科専門医認定更新申請書』第1~8号様式
- 更新手数料の支払いを証明できるもの
『小児科専門医認定更新申請書』はホームページからダウンロードしてください。
勤務実態の証明、小児科専門医の更新必要単位などを記載していきます
※書類不備があった場合、専門医新宿事務所から連絡がくる可能性があるそうです。
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10月頃:日本専門医機構から認定証が郵送されます。
小児科専門医更新の必要単位数
項目 | 取得単位(5年間) |
ⅰ)診療実績の証明 | 10 単位(100 症例分) |
ⅱ)専門医共通講習 | 3~10 単位(必修 3 単位以上) |
ⅲ)小児科領域講習 | 20 単位以上 |
ⅳ)学術業績・診療以外の活動実績 | 0~10 単位 |
ⅰ)診療実績の証明
第4 号様式『診療活動の申告』か第5 様式『健診・予防接種等の活動申告』の両方でも片方のみでも構いません。
外来・入院どちらも大丈夫で100症例をまとめます。検診や予防接種は半日で1症例相当になります。
5年間で100症例なので、1年間で20症例を毎年まとめていくと楽ですがそんなコツコツできませんよね。
第4 号様式『診療活動の申告』は治療/患者への説明などを『1~2行ほどの簡単なもので良い』とのことです。
『word 上で表を加工し、行間を縮小、15 症例/ページに変更、1~100 の通し番号で作成しても可』だそうです。
私は行間を縮小せず書き始めたので1 ページ15症例にしてしまうと1 行サマリーになってしまったので10症例/ページに変更し、1 症例2 行程度で記載しました。
例)
- 2日前からの咳と鼻水で来院した。急性上気道炎と診断し、去痰薬と解熱薬にて経過観察とした。
- 階段で転倒し後頭部を打撲した。神経学的所見もないことから後頭部打撲と診断し経過観察とした。
転帰は小児科専門医のサマリーと同様に『軽快、治癒、不変、増悪、死亡』のどれかから選択すればよいです。
責任者署名が必要なため、第4 号様式『診療活動の申告』は施設ごとにまとめていく必要があるので注意してください。
第5 様式『健診・予防接種等の活動申告』の市町村の保健センタ―での健診業務の場合は保険センターの責任者の署名が必要になります。
当日いただくか、何回かまとめて健診時にもらっておくと後で面倒なことになりません。
開業医の場合は責任者署名ば本人で大丈夫だそうです。
ⅱ)専門医共通講習
これは他の領域(専門医)と共通の講習会になります。
- 医療安全講習会(必修:5年間で1単位以上必要)
- 感染対策講習会(必修:5年間で1単位以上必要)
- 医療倫理講習会(必修:5年間で1単位以上必要)
- 指導医講習会(2泊3日で3単位)
- 臨床研究/臨床試験講習会、医療事故検討会、医療法制講習会、医療経済講習会
- JPS専門医オンライン・セミナーで上記に該当する講演(これだけでもOK、後述します)
院内での感染対策、医療倫理、医療安全に関する講習会も日本専門医機構が認定したものであれば使用できるそうです。
今後どんどん院内での講習会も認定して欲しいですね。
ⅲ)小児科領域講習
- 小児科学会学術集会、地方会などの特別講演(1単位)
- 乳幼児健診の講習会(2単位)
- 思春期医学臨床講習会(2単位)
- 小児の在宅医療実技講習会(2単位)
- JPLS講習会(3単位)、PALS講習会(3単位)
- NCPR講習会(Aコース2単位、Sコース1単位)
- JPS専門医オンライン・セミナー(1単位、これだけでもOK、後述します)
講習会の参加だけだと難しいのでJPS専門医オンライン・セミナーを活用しましょう。
小児科領域講習だけでも最低20単位が必要なので約20時間必要になってきます。
普通は30単位前後取得する人が多いので昼休みなど時間を見つけてやっていきましょう。
ⅳ)学術業績・診療以外の活動実績
A.学術業績
- 日本小児科学会・小児科学会地方会等の筆頭演者・第2筆頭演者(1単位)
- 日本小児科学会・小児科学会地方会等の座長・司会(1単位)
- 査読のある論文の筆頭著者(2単位)および共著者(1単位)
B.学術集会への参加(5年間で6単位が上限)
- 日本小児科学会・小児科学会地方会等の参加(1単位)
- 日本周産期・新生児医学会の参加(1単位)
C.その他の活動
- 学校医・園医(2単位)
- 地域・学校での講演・座長(1単位)
『ⅳ)学術集会・診療以外の実績』は取得単位は0~10単位ですので、0単位でも問題ありません。
JPS専門医オンライン・セミナー
日本小児科学会のホームページから受講できる専門医のためのオンライン・セミナーです。
『ⅰ)診療実績の証明』さえできてしまえば、後はこのJPS専門医オンライン・セミナーだけでも大丈夫です。
受講方法を説明していきます。
1.会員専用ページをクリック
2.ログイン
3.JPSオンラインセミナーをクリック
4.JPSオンラインセミナーをクリック
5.JPS専門医オンライン・セミナーで受講
単位発行は証明書発行をクリックし印刷
小児科専門医更新の実例
ⅰ)診療実績の証明 100 症例 10 単位
責任者の署名が必要なので1つの施設で100 症例をまとめました。
どんな症例でも構わないので100 症例なので、なるべく1つの施設で作成することをおすすめします。
10症例/ページに変更し、1 症例2 行程度で記載しました。
ⅱ)専門医共通講習 7 単位
私は救急専門医も持っているので『ⅱ)専門医共通講習』を7 単位とりました。
他の専門医と共通なので私の場合は救急専門医の更新でも利用できます。
ⅲ)小児科専門領域講習 27 単位
JPS専門医オンライン・セミナーのみで27 単位を取得しました。
JPS専門医オンライン・セミナーは60分前後で1単位ですが、ものによって35分~80分と幅があるので少し時間も考えて受講してください。
ⅳ)学術業績・診療以外の活動実績 6 単位
日本小児科学会の参加 1単位
小児科地方会の発表 1単位
小児科地方会の参加 1単位
査読を受けた論文の共著者 3単位
以上『小児科専門医の更新のまとめ』でした。
みなさんもお仕事が忙しいと思いますが、負けずに頑張ってください。
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