感染性心内膜炎(IE:Infective Endocarditis )
<Duke臨床的診断基準>
【IE 確診例】
Ⅰ.臨床的基準 大基準 2 つ,または大基準 1 つと小基準 3 つ,または小基準 5 つ
(大基準)
1.IE に対する血液培養陽性
A.2 回の血液培養で以下のいずれかが認められた場合
(i)Streptococcus viridans,Streptococcus bovis,HACEK グループ
(ii)Staphylococcus aureus または Enterococcus が検出され,他に感染巣がない場合
B.つぎのように定義される持続性の IE に合致する血液培養陽性
(i)12 時間以上間隔をあけて採取した血液検体の培養が 2 回以上陽性
(ii)3 回の血液培養すべてあるいは 4 回以上の血液培養の大半が陽性(最初と最後の採血間隔が 1 時間以上)
2.心内膜が侵されている所見で A または B の場合
A.IE の心エコー図所見で以下のいずれかの場合
(i)弁あるいはその支持組織の上,または逆流ジェット通路,または人工物の上にみられる解剖学的に説明の できない振動性の心臓内腫瘤
(ii)膿瘍
(iii)人工弁の新たな部分的裂開
B.新規の弁閉鎖不全(既存の雑音の悪化または変化のみでは十分でない)
(小基準)
1.素因:素因となる心疾患または静注薬物常用
2.発熱:38.0 ℃以上
3.血管現象:主要血管塞栓,敗血症性梗塞,感染性動脈瘤,頭蓋内出血,眼球結膜出血,Janeway 発疹
4.免疫学的現象:糸球体腎炎,Osler 結節,Roth 斑,リウマチ因子
5.微生物学的所見:血液培養陽性であるが上記の大基準を満たさない場合,または IE として矛盾のない活動性炎症の血 清学的証拠
6.心エコー図所見:IE に一致するが,上記の大基準を満たさない場合
Ⅱ.病理学的基準菌:培養または組織検査により疣腫,塞栓化した疣腫,心内膿瘍において証明,あるいは 病変部位における検索:組織学的に活動性を呈する疣贅や心筋膿瘍を認める
【IE 可能性】
“確診”の基準には足りないが,“否定的”に当てはまらない所見
【否定的】
心内膜炎症状に対する別の確実な診断,または
心内膜炎症状が 4 日以内の抗菌薬により消退,または
4 日以内の抗菌薬投与後の手術時または剖検時に IE の病理学所見なし
<治療>
菌が同定されていれば
Streptococcus(連鎖球菌)
PCG+GM or ABPC+GM or CTRX+GM
Enterococcus(腸球菌)
ABPC+GM
MSSA
CEZ+GM
MRSA
VCM+GM
菌が同定されていない場合
GNRも考える場合はCTRXも入れる
人工弁の場合はブドウ球菌系が多い。入院中や術後2か月以内はCNSやMRSAカバーをする。
自己弁
抗菌薬投与あり ABPC(SBT/ABPC)+GM±CTRX
抗菌薬投与なし CTRX+GM
人工弁
抗菌薬投与あり VCM+GM±リファンピシン or VCM+GM+CTRX
抗菌薬投与なし VCM+GM+CTRX or SBT/ABPC+GM+CTRX
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